本日は朝日アマ将棋名人戦の関西ブロック大会でした。
兵庫県代表が4名、あと大阪府代表が7名、京都府代表が3名、奈良県代表が2名、滋賀県代表が2名の総勢20名による戦いで5人の代表枠を勝ち取る大会です。
各府県の代表者なので猛者揃い。気の抜けない戦いです。代表になるために2連勝が必須でしたが、なんとか2連勝し、代表を獲得することができました。
全国大会は3月に東京で行われます。全国大会でも活躍できるように頑張ります。
さて、本日の対局を振り返ってみたいと思います。
持ち時間は50分40秒。多くのアマチュア大会や学生大会では「10分30秒」や「20分30秒」のような短い持ち時間で大会は行われますが、今回は関西大会。じっくり長く落ち着いた将棋が指せるようになっています。
ちなみにですが、「20分30秒」というのは、持ち時間は20分、それを使い切ると1手30秒未満で指さなければいけません。持ち時間が「20分30秒」の対局では、およそ1時間くらいかかります。「50分40秒」の場合は、2時間〜2時間半。長い場合は3時間かかることもありますので、今回のように2局しか対局しないときにしか長い持ち時間で対局できません。
準決勝 vs京都府代表
私が後手でした。
初手▲5六歩に長考しました。私が中飛車党なので、居飛車をして、やられて嫌な中飛車対策もあるのですが、最近ハマっている「相中飛車」を指すことにしました。本局の指し方は、https://amzn.asia/d/4327vNXを参考にしています。
数手進んで次の図。
この局面では、△1五歩▲同歩△同香▲1八歩△1二飛のように端を攻める手があったようです。と言っても先手が正確に受ければ後手やや良しの互角です。「美濃囲いには端攻め」これはよく使います。
さて、相中飛車からの向かい飛車は常套手段で△2四歩と突きましたが、▲2六歩で先手は銀冠を目指してきました。これは流石に欲どうしい(欲張り)な構想である。実際、AIで調べると▲2六歩だと後手が有利になります。
したがって、この▲2六歩を咎めたいところですが、本譜は咎め損ねます。
さて、問題はこの局面。
①△2五歩。これは平凡な一手。
②△3二金。△4二角〜△3三桂〜△6四角と指す狙い。
③△3五銀。ヤンチャな一手。
本譜は①△2五歩と指しましたが、私の第一感は③△3五銀でした。理由は、▲3五同銀△同歩としたあとに△3四銀と打ち付けると、△2五歩からの棒銀が受からないからです。
しかし、断念した理由は、▲3三角成△同桂▲3五銀△同歩▲3四銀と抑えられてどうか?難解かな・・・という判断でしたが、AIによると後手が有利だったようです。
数手進んで次の局面。
後手のこちらとしては、角を相手の玉のラインに利かして、不満のない展開。
△2五歩▲同歩△同桂▲同桂△同飛とすべきでした。そうすれば、▲3七桂がいなくなるのでより角の睨みがキツくなるからです。以下、▲2六歩に△2三飛が見えておらず断念しました。(さっきまで2三に飛車いたのに・・・)△2二飛は相手の角のラインに入るのが嫌、△2一飛は▲3三桂があるからです。
そこで△2一飛と引けるように△4二金と上がったのが大悪手。理由はわかるでしょうか。まだしも△5二金ならば後手指しやすい流れでした。
さて、本譜は
この局面です。もし、△2一飛ならば後手がやや苦しいです。
なぜでしょう?
【正解】▲5五歩が厳しいからです。
以下、①△5五同歩は②▲5四桂の「ふんどしの桂」による金の両取り。②△5二金左で交わすと今度は▲5六桂の角銀両取りがあるからです。
したがって、△6五飛と暴れましたが、それでも△2一飛や△2三飛で全くの互角だったようです。それだけ角のラインに玉がいることが罪なことなのかもしれません。
この△6五飛に対して、▲6八飛は▲5五歩と突きづらくなるため(△5六桂が生じるため)、△2五歩から相手の陣形を崩しにいけば良いです。
ということで、▲6六歩△8五飛としますが、▲8六歩がいい手でした。
ぱっと見、△8六同角と取れますが、▲8八飛が返し技になります。また、▲8六同角△同飛▲7五角が飛車金両取りです。
したがって、△8四飛▲6五歩△5三角▲4五桂と進んだのが下の図。
厳密には、▲6五歩に△5三角ではなく、△8六角の方が良いと思われます。いずれ▲3七玉と逃げてきたときに、△4五桂と打てるからです。
さて、この局面は△4五同銀は▲同銀で次の▲1一角成が厳しいです。
したがって、泣く泣く△8六角から捌きあいますが、
金を取られて後手が痛いように見えますが、ここで△4一香が攻防の一着。これが△9九龍の効果で、一気にこちらが指しやすくなったと思います。実際AI的には互角だそうですが、両対局者のイメージは後手よしです。
ちなみに手順中、△1五歩を入れたのが細かい一着でこれでいつでも△1八歩▲同香△1九角の攻めができます。銀冠は上部に強い形ですが、一段目に弱い囲いです。
さて、待望の△4一香を打ったので、いよいよ攻めるターン・・・・って思って△2四桂と打ったのが悪手。悪手というより緩手。まだしも△1八歩だし、どう考えてもここは△5三歩としっかり受けるべきでした。
本譜では、▲6四歩と突かれて一気に勝負形になってしまいました。何より、それでもこちら後手の方がいいと思っている大局観をどうにかしなければいけません。実際、AI的にはこの後ずっと先手優勢の局面が続くのですが、ずっと自分がいいと思っているのだからひどい。。。
さて、最終盤
▲6三飛成に△7二金打で粘った局面。
流石にこの辺は負けを意識していましたが、▲5二龍には△7五馬が絶品の返し技。馬取りと△4八馬から一気に寄せる手順を狙っています。
したがって、▲6四龍だと負けていたと思いますが、△8八馬がしぶとい粘りで、△7三歩・△6三歩と修復すればいずれ△3七香からの反撃が見込めます。本譜は秒読みの中、△7二同龍と切ってきましたが、
最後に狙いの△7五馬が実現し、勝ちとなりました。
決勝戦 vs和歌山県代表
私が先手。相手の方は和歌山県で代表の常連さんで超強敵。
戦型は相手の居飛車穴熊に、ゴキゲン中飛車で迎え撃つ作戦に。この戦い方もhttps://amzn.asia/d/ddFxEuoで解説されています。
さて、ここではお互いがっぷり四つ組んで、互角の流れ。▲4七金〜3六歩〜3七桂を目指したいが、△4五歩が気になるところ。実際には、▲4五歩と取り返して4四の地点に傷ができるので、後手も△4五歩のタイミングが非常に難しい。
そこで、私が選んだのは▲7五歩。これは▲7六飛から石田流に組み替えようという狙い。あわよくば、3筋・5筋の両方で睨みを利かす。また、▲7六飛とすると、△7九角成とされたときに、▲7七角が動けば馬当たりになるのも大きい。
以下、△8四飛に▲7四歩が狙いの一着。
①△6四歩▲同銀△7四飛には▲6六飛で先手優勢。
②△6四歩▲同銀△7四歩▲6六飛△8三飛には▲7五銀!△7三銀▲6一飛成△7五歩▲7四歩で銀を取り返すことができるので先手優勢。
③△7四歩には▲7六飛△7三銀▲6六角△8二飛▲7七桂の要領だ。
本譜はどれもダメと判断したのか、△6四歩▲同銀△4五歩で戦線拡大。狙いは銀交換した後に△4七銀と打つことだが、先手は▲6六飛から飛車が成り込むことに成功した。
以下、細かい応酬があり、次の局面。
さて、ここで△6二飛では▲7一飛成でジリ貧。△7三銀で飛車成りを防ぐようでは、▲5二とで後手勝ち目がない。
したがって、飛車成を受けるすべがないが、こういう局面で△6六歩と指せるのが超強豪。一見狙いがわかりにくいが、▲6六同飛は飛車交換後、△7一飛から4七銀が鬼厳しい。かといって、▲6六同角は△6五銀が嫌。もしくは良きタイミングで飛車角交換から攻め倒される未来が見える。したがって▲6六同歩だが、これで角が攻め駒として機能しなくなった+飛車の横利きがなくなったのが痛いところ。
細かいところだが、この一手はかなり大きく戦況を左右するので覚えておきたい。
数手進んで次の局面。
さて、何を指してもそこそこ先手が優勢の局面だが、攻めて駒を渡すと反撃で負けてしまう可能性があるのが薄い玉のデメリット。
この局面ではかなり悩んだが、本譜は▲6三と△3三金▲5三とと攻めたが、△6七銀が厄介な攻め。対して▲6七同金は△4七馬▲2八玉△2九馬▲同玉△4九飛成で後手勝ち。このような怖い狙いがある。
したがって、私の第一感は▲5六銀!これは6七・4七を補強しつつ、相手に手を与えない指し方。AIもこれが最善らしい。自分の第一感が信じられないのが今の悩み・・・
この局面。▲4八金寄が正解。△5六銀成に▲5八銀が鉄壁で先手の優勢は揺らがなかった。
本譜は、▲5九銀と打ち、△5八銀成に▲同銀を用意したが、△5七金と指されていると一気に後手優勢になっていたようだ。やはり食いつかれるとおかしくなるのが将棋の怖いところだろう。
本譜は△5六銀成だったので▲4八銀で事なきを得たが、こういう細かいところを改善しなければ全国大会では瞬殺されるだろう。
さて、終盤戦。ここでは▲4二銀や▲8一龍などいろいろ勝ち方があると思いますが、あまりゆっくりしすぎると△6六馬〜△5七歩〜7七歩成を絡められて厄介だ。しかも攻めて駒を渡すと反撃が飛んでくるのも、薄い玉のデメリット。
そこで、ここは▲1五歩!
歩をたくさん持って、1三に角が利いている場合は端攻めが穴熊崩しの常套手段。ぜひ覚えておきたい。
さて、数手進んで次の局面。
穴熊相手に1四歩まで伸びていると、ほぼ崩壊状態と思っていいだろう。
ただ、注意しなければいけないのは、△5七歩から角を取られて△2七香成から一気に詰ませる順。
このような怖い順がある状態で攻めるのは正直怖い。
したがってもったいないようだが、ここは▲2四角が正解。以下、△同歩で自玉を「Z」の状態(=どれだけ駒を渡しても詰まない状態)にして、▲1三香が決め手。この後も粘られますが、一手一手確実に寄せていって勝ちとなりました。
個人的にはかなりいい将棋を指したと思いましたが、AIで調べてみるとまだまだ・・・
全国大会の3月までにどれだけ悪手を減らせるか(AI一致率を上げるのは難しいので・・・)頑張りたいと思います。